熊本大学大学院生命科学研究部: 荒木令江先生 提供

ヒトビメンチンタンパク質のリン酸化パターンの検出

Auto2Dを用いてヒト悪性脳腫瘍タンパク質を2次元電気泳動した後、抗ビメンチン抗体を用いて検出した結果。
●IEFチップ:pH4-7

●PAGEチップ:10.0% ポリアクリルアミドゲル

​結果

ヒト悪性脳腫瘍由来ビメンチンタンパク質のN末端切断シフトおよびリン酸化シフトを同時に検出できた。

癌の悪性化に関係のあるビメンチンタンパク質のAuto2D-Western Blotting結果

​リン酸化シフトの分析
 
 
リン酸化プロテオーム解析

北里大学薬学部 生化学講座: 服部成介先生、佐藤龍洋先生 提供

リン酸化プロテオーム解析によるmTORシグナル伝達因子の検出

mTOR阻害剤であるラパマイシン、もしくは作用機序の異なるmTOR阻害剤Aの添加、非添加の培養細胞を使用し、Auto2Dを用いてリン酸化プロテオーム解析を行った結果。

●IEFチップ:pH4-7

●PAGEチップ:10.0% ポリアクリルアミドゲル

結果

ラパマイシン処理で変化したリン酸化シフトを数多く検出できた。リン酸化シフトを同時に検出できた。

癌細胞の差異解析
 

(地独)東京都健康長寿医療センター研究所・老化機構研究チーム: 戸田年総先生、岩本真知子先生 提供

ヒト正常細胞と不死化(癌化)細胞のタンパク質の比較解析

Auto2Dを用いて蛍光試薬Aで標識したヒト正常繊維芽細胞と蛍光試薬Bで標識した不死化(癌化)細胞のタンパク質を2次元電気泳動した結果。
(赤: 試薬Aの蛍光画像、緑: 試薬Bの蛍光画像)

●IEFチップ:pH4-7
●PAGEチップ:10.0% ポリアクリルアミドゲル

結果

不死化(癌化)に伴い変化するスポット群を検出できた。

実験動物の脳の14-3-3 タンパク質のアイソフォームの解析

Auto2Dを用いてマウス海馬細胞質タンパク質をpH4-5.5のカスタムIEFチップで2次元電気泳動した結果。

●IEFチップ:pH4-5.5
●PAGEチップ:10.0% ポリアクリルアミドゲル

結果

14-3-3 タンパク質のアイソフォームを含むスポット群を検出できた。

2D-ウェスタンブロッティング
 

(独)産業技術総合研究所
バイオメディカル研究部門連携研究体 バイオ技術産業化センター: 横山憲二先生
東京工科大学 応用生物学部: 矢野和義先生、佐々木典子先生 提供

抗体ミックスを用いたTPA処理マウス正常形質細胞の抽出タンパク質の変動検出

DMSOもしくは200 nMのTPA(12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate)で処理した40μgの細胞由来タンパク質を、Auto2Dを用いて2次元展開、PVDF膜転写した後、下記6種類の抗体を混合した抗体ミックスを用いて2D-ウェスタンブロッティングを行った結果。

●IEFチップ:pH3-10

●PAGEチップ:10.0% ポリアクリルアミドゲル

結果

下記6種類の標的タンパクの抗体を用いた結果、各タンパク質のリン酸化を同時に検出できた。

抗体医薬の2次元電気泳動分離
 

近畿大学薬学部: 掛樋一晃先生、木下充弘先生 提供

 

Auto2Dを用いた2次元電気泳動によりcIEFに比べ高感度かつ高解像度で分離できた。

Auto2Dによる抗体医薬品の分離データ

等電点及びSDS-PAGEともに非還元条件下でAuto2Dを用いて、抗体医薬の2次元電気泳動分離を行った。

●PAGEチップ:7.5%(品番:BM-12075)
●試薬:グリシン系試薬セット(品番:BM-1RYSJ1)

結果

抗体医薬C,抗体医薬Bおよび抗体医薬T共に高い解像度で蛋白質を分離する事ができた。

等電点およびSDS-PAGEと共に非還元条件で2次元電気泳動を行なった結果である。赤矢印は抗体医薬の目的成分H2L2ホモヘテロダイマーと推測され、それ以外のスポットは、目的成分由来のタンパク質スポットであると思われる。

Auto2Dを用いて分離した2-DEゲル画像

​(図 左)

  • サンプル:蛍光標識した抗体医薬C(2μg)

  • IEFチップ:pH7-10(品番:BM-117010)

(図 中央)

  • サンプル:蛍光標識した抗体医薬B(2μg)

  • IEFチップ:pH6-10(品番:BM-116010)

(図 右)

  • サンプル:蛍光標識した抗体医薬T(2μg)

  • IEFチップ:pH7-10(品番:BM-117010)

抗体医薬Cの分離におけるcIEFとの比較

抗体医薬Cを用いて最近よく用いられているcIEF電気泳動分離と、等電点及びSDS-PAGEともに非還元条件下でAuto2Dを用いた2次元電気泳動分離をそれぞれ行った。

結果

Auto2Dを用いた抗体医薬Cの検出結果は、目的成分において9本のピークが得られ、cIEF分析を用いた抗体医薬Cの検出結果8本に対し優位性を示した。

抗体医薬CをAuto2Dを用いて分離した2-DEゲル画像とcIEFとのパターンの比較
cIEFでは抗体医薬を等電点で分離することにより、目的成分が8本のピークとして検出されたのに対して、Auto2Dでは目的成分が9個のスポットとして検出された。
Auto2Dでは目的成分のピーク以外に、多量体と推定されるAのスポット群をはじめ、分子量の異なるスポット群(B, C)も観察された。

 
X線結晶構造解析タンパク質の評価

株式会社コンフォーカルサイエンス様、株式会社丸和栄養食品様 提供

今回の実験ではAspergillus oryzae(A.oryzae)由来のAlpha-amylase(Taka-amylase A:TAA, pl5.0, 56kDa)を抽出し、評価サンプルとして使用した。そして使用前のTAA(粗精製状態:NP)とイオン交換クロマトグラフィによる精製後に得られるFr1,Fr2,Fr3のタンパク質(イオン交換クロマトグラフィにより確認)、TAA(NP)、そして Fr1,Fr2,Fr3の混合物について、SDS-PAGEおよびAuto2Dによる2次元電気泳動を用いて分離を行い、得られた泳動結果とタンパク質の均一性評価の考察を行った。

結果

SDS-PAGEの検出結果の差はほとんど見られず、特にFr1とNPは同様な結果となったことから、精製状態の判断は困難となった(図A)。
一方Auto2Dでは、 Fr1とNPそれぞれの泳動パターンが異なる事がわかった(図B、図C)。泳動パターンに現れるスポットは Fr1とTAA(NP)それぞれ異なる分子量および等電点を持つタンパク質を示していることから、Fr1とTAA(NP)のタンパク質が不均一性を示している事がわかる。また、図Bに示されるように確認できるスポット数が少ないFr1の方が、より均一性が高いタンパク質であり、Fr1がより良好な検証が得られることが示唆された。
以上の事から、 Auto2Dを用いた2次元電気泳動は純度だけでなく均一性を評価できるという点で、SDS-PAGEよりもタンパク質の品質評価として優れ、なおかつ、その泳動パターンからタンパク質を結晶化させたときの品質が推測できる有用な分析法になる事が示唆された。

 SDS-PAGE 

粗精製TAA(NP)と精製後の各画分のSDS-PAGE泳動結果(図A)
M. 分子量マーカー, 1. Fr1, 2. Fr2, 3. Fr3, 4. TAA(NP), 5. Fr1, Fr2, Fr3混合物

 Auto 2D 

(図 左)

精製TAA(Fr1)1μgの2次元電気泳動の結果(図B)

(図 右)

精製TAA(NP)1μgの2次元電気泳動の結果(図C)

※図Bと図Cは青矢印で示すスポットの蛍光強度を基準にした規格化、コントラスト調整を実施。

蛍光強度の強いスポットとして、精製TAA(Fr1)では単一のスポット(図B赤矢印)しか検出されなかったのに対して、粗精製TAA(NP)では、Fr1で検出されたスポットに加えて、等電点がシフトしたと予想される2つのスポットの検出が確認された(図C赤矢印)。
すなわちクラスターを形成しない分解能のより高い結晶が得られるTAA(Fr1)のほうがクラスターを形成しやすく、分解能のより低い結晶しか得られないTAA(NP)よりも均一性が高いタンパク質であることが示された。これらの結果より、2次元電気泳動法は、純度だけでなく均一性を評価できるという点で、SDS-PAGEよりもタンパク質の品質の評価法として優れていることが分かる。